2014年09月05日

「美術館」(作:ホーライ)

その答えはレオナルド・ダ・ヴィンチの絵に隠されていた。

僕たちが長年研究してきたリウマチの新薬がこれで完成する。


今から7年前に始めたリウマチの新薬開発プロジェクト。

それは暗礁に次ぐ暗礁だった。

そして最後の突破口が見出されないまま、会社からあと2年という期限が提示された。


リウマチプロジェクトの最後は、過去のあらゆるリウマチに関する文献漁りにかけられていた。

僕たちがコンピューターを駆使してデザインした新薬候補には、ある特徴があった。

それは、ある種の金属がその薬の効果を高めるのだ。

昔から、リウマチには「金」が薬として使われていたから、あながち不思議では無かったが、最も効果が高い金属を探すのが、僕たちの最後の仕事だった。

今のままでは、現存する薬の効果とほぼ同じなのだ。


何故、リウマチに「金」が使われるようになったのか。

コッホの時代、リウマチも、もしかしたら結核からくるのではないかとの考えで、結核に少し効く金療法を試したところ、リウマチが実にみごとに軽快した例が出てきた。

これが金療法の始まりだ。

以来、いろんな金属と化合物が試されてきた。

その中でも、僕たちのチームが発見したものが一番有望だろう。

しかし、決め手となる金属がまだよく分からない。

そこで、ありとあらゆるリウマチ文献漁りとなったわけだ。

ある若手研究者がグーグルを使って、片っ端から「リウマチ」でヒットしたサイトを調べてみた。

すると、レオナルド・ダ・ヴィンチが「病いに苦しむ婦人を描くラファエロ」という絵を描いており、その「病い」がどうやら「リウマチ」らしいことが分かった。

「それで?」

「それで・・・・・・、実はその絵が今、東京に来ているらしいんです。」

「それで?」

「なので、あの・・・・・・見に行きませんか?」

「わらを?」

「は?」

「藁をもつかむ思いだな」

「はい、まぁ、そういうことです。」


posted by ホーライ at 22:06| Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリィ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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