2014年09月07日

「美術館」(2)

その絵は、なんとも奇妙な絵だった。

病いで苦しんでいる婦人のベッドの前でラファエロがキャンバスにむかって、その婦人の姿を描いているのを、ダ・ヴィンチが絵にしているのだ。

キャンバスの中にまたキャンバスがある。

何故、ラファエロは病気で苦しむ婦人の絵を描こうとしたんだろう?

それを、どうしてダ・ヴィンチは絵にしたのだろう?



中世の暗い部屋の中で小さな窓から光が差し、女性が痛みに顔を歪めている。

それを射抜くようなまなざしで見つめるラファエロの横顔。

その前にあるキャンバスの中にも病気の女性が・・・・・・。


「不思議な絵ですね。」

「まったく」

「なんで、ダ・ヴィンチは、こんな絵を描いたんでしょう?」

「いい質問だ。今まさに、きみに聞こうと思っていた質問だよ。」


僕と若手研究者は、しばらく絵を見つめていた。

暗い絵の前にいるのは僕たち二人だけだった。



美術館に併設されている喫茶店でコーヒーを飲んだ。

「結局、藁は藁だったな」

「そうですかね? そうですね。特に新しい情報は見つかりませんでしたね。」



画家は時に奇妙な絵を描くものだという感想だけが、二人の頭の中を占めていると僕は思った。

「でも、あのベッドの足元に置いてあった小瓶が気になるな」

「ん?足元に小瓶?なかったと思うけれど」

「ありましたよ、婦人の足もとに」

「足元? 女性の下半身はラファエロのキャンバスで隠れていただろう?」

「あ!先輩、意外と注意力散漫ですね。」

「あったっけ?小瓶」

「ラファエロのキャンバスの中に描かれた婦人のほうの足元に小瓶が2個あったんですよ」

「そうだっけ?」

「そうなんです。あの瓶の中には薬が入っていたと思いませんか?」

「……」

日本で液晶が開発された理由は、アメリカの研究所に行った日本のテレビ局が放送した番組に研究者の机の小瓶のラベルの化合物名がテレビに映ったからだ。

「もう一度、見に行こう」


posted by ホーライ at 08:33| Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリィ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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