2014年09月11日

「美術館」(3)

確かに、ラファエロが描いているキャンバスの中には、小瓶が2個描かれていた。

ラベルには文字らしき模様も見られる。


「この文字を写せ。」


僕と若手研究家は、ラベルの模様を手帳に書き写した。

小さな模様なので、絵のすぐ近くまで顔を近づけないとよく見えない。


「何語でしょうね? 英語でないことは間違いありませんね。」

「イタリア語かラテン語だろうな。」


二人で書き写し、メモ帳をポケットにしまいこんだ時に、女性の声がした。

「絵にインクが飛ぶといけませんので、万年筆は美術館で使わないでください。」

振り返ると、美術館員らしき女性だった。

「すいません。もう大丈夫です。」

「気をつけてくださいね。ところで、絵に何か?」


眼鏡を人差し指で持ち上げ、その女性が聞いた。

「この瓶のラベルの文字があまりに素晴らしいもので。ところで、なんと書かれているか、ご存知ですか?」

女性は眼鏡をさらに持ち上げ、絵に顔を近づけ、しばらく眺めていると、顔をあげた。

「ここは美術館で、書道展ではありません。」

彼女の言うとおりだった。




「だめですね。」

「そうか。」

「英語ではもちろんなし。イタリア語でもラテン語でもない。ポルトガル語、スペイン語、み〜〜んな違いました。」

「やっぱり単なる模様なのかな?}

「そうかもしれませんね。」

「あきらめるかな・・・・・・。しかし、何故、ダ・ヴィンチはあんな絵を描いたんだろう」

「彼は芸術家であると同時に科学者でもありますよね。」

「そうだ。」

「その科学者としての気持ちが、将来は病気の苦しみがなくなって欲しいということで絵を歴史に残したのではないですか」

「つまり、彼は我々に、それを託したいために絵を描いたということだ。」

「そうなりますね。」

「・・・・・・彼の願いを叶えようじゃないか。」

「はい!」



posted by ホーライ at 03:01| Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリィ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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